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【特捜部Q カルテ番号64】ネタバレ!強制不妊手術を行う非道な組織に立ち向かう

特捜部Qカルテ番号64の日本版ポスター

この作品を最後に、キャストが一新されることになります。
カール・マーク役のニコライ・リー・カースとアサド役のファレス・ファレスのコンビはなかなかに人気だったので、惜しむ声も多く見られました。
とはいえ、原作のシリーズはもう少し続きますし、映画も「知りすぎたマルコ」まで制作、ロードショーされています。

キャスト最後の作品にふさわしく、カールとアサドのバディ愛がさらに深まる作品ですので、私はとても好きです(そのため知りすぎたマルコはまだ見ていませんw)。

今回のお話は出産をする人をターゲットに弾圧を行う隠れた組織の犯罪を摘発するもので、根深い差別意識が顕になっていきます。
1961年と2018年の出来事が交互に描かれて、この人があの人?と迷わせてしまう映像手法が面白いです。

カールの断固として立ち向かう姿が、やっぱりこの人は変人だけど、人情があるよなぁと感心する部分でもありました。
今回はアサドの知り合いの少女が関わるので、感情も揺れ動くし、アサドの優しさが見えるのも良いです。
やはりレイプのシーンがあるので、そこは辛いですが。

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それではネタバレ詳細書いていきます。

アパートの壁の後ろで見つかった3つのミイラ

1961年ドラオア海岸
水面が画面の上に映し出され、やがて海岸線を走る少女(Fanny Leander Bornedal)が映し出される。
少女は後ろを気にしながら海岸線に停めてあった車、その側に立つ青年テーイのもとに辿り着く。
二人は抱き合いキスをするが、少女は青年と付き合っていることを父親に反対されているようで、青年は待ち合わせ場所に来ないのではないかと心配していた。

車の中で二人はセックスをしている。
二人は愛を確信していて、少女は「私たちに子供が」と嬉しそうに話す。
そこに父親がやってきて、少女を車から引き摺り出す。
少女と青年はいとこ同士で、それが父親の怒りに触れたようだ。

警察署の食堂で向かい合って座るアサドとカール
時代は変わって2018年のコペンハーゲン
警察署の食堂の中で向かい合わせに座るカール・マーク(ニコライ・リー・カース)アサド(ファレス・ファレス)
アサドは昇進のためにカールが書いた推薦状の内容に不満を漏らす。
推薦状には「アサドは期待通りの働きをした」と書かれているが、アサドは5年もいたのに書くことはたったこれだけなのか、とカールに詰め寄る。
カールは食堂の従業員が物音を立ててイラついたり、アサドだって単に異動するだけだろ、と言ったりイライラしている様子。
アサドは本当にカールは自分が異動してもいいと思っているのか知りたいのだ。
しかしカールは「ただの同僚だろ」「その目(パピーアイズ)は恋しくなる」と吐き捨ててしまう。
アサドは呆然としてカールに「人との基本的な付き合いもできない人だ(そんなあなたとは離れて正解だ)」とその場を立ち去る。

署内の同僚たちが多く集まるバーにカールはいるが、バク(Michael Brostrup)に誘われても同僚たちとの輪に入ろうとしない。
手が震え、外に出ることにするカール。
通りを歩いていると、信号無視でトラブルが起こっていて、注意された方の運転手が相手に詰め寄り今にも殴りそうな勢いだ。
カールは脅迫をしていたチンピラ運転手を殴り倒す。

1961年コアセー港。
父親に恋人との逢瀬を止められた少女が連れてこられる。
そこには看護師のギデ・チャールズ(Luise Skov)が待機していて、少女に「スプロー島に行く」と告げる。
反抗的な態度の少女の腕を掴み、ギデは高圧的な態度で接する。
ギデと少女は船に乗り込み、出港する。

2018年コペンハーゲン
アラブ系の若い女性二人(一人はヒジャブを着用している)が電車を降り、ある建物に入っていくが、それを車の中から男が監視し携帯で写真を撮影している。
ヒジャブを被った女性の方は付き添いで、もう一人の方ヌール(Amanda Radeljak)に「本当にいいの?」と決心を尋ねている。
看護師が二人を診察室に案内するが、それを医師のクアト・ヴァズ(Anders Hove)が険しい顔で見ていた。
ビエーデという医師がまずヌールに説明する。
普通は社会保障番号を聞くが、ヌールは匿名での処置に同意しているらしいのでその通り進めるとのこと。
どうやらここは産婦人科で、ヌールは中絶のためにやってきたらしい。

湖畔の寂れたアパート。
解体業者と不動産管理人が、封鎖されたらしい建物の中に入っていき、作業の説明を受けている。

手術室。
ヌールが手術代に横たわり、付き添いの友人の手を握り、二人の共通の言語(デンマーク語ではない)で話をしている。
ヌールは急に不安になって中止した方がいいのか迷っているが、結局手術を続行することになる。

湖畔のアパート。
解体業者が壁を壊し始め、穴が開き管理人が中を除くが、ひどい匂いと埃っぽさに咳き込んでしまう。
中にはミイラ化した三つの遺体があり、縄で拘束されて椅子に縛り付けられていたのだ。

(ここでタイトル)

ミイラ事件の詳細

特捜部Qのオフィス。
コーヒーに天井からの雫が滴っている。
ローセ(Johanne Louise Schmidt)は次のチームメンバーを選出するための面接を行なっているが、カールは気もそぞろだ。

そこにバクが入ってきて、彼がアサドの後任のつもりなら気に入らない(から反対だ)という。
バクがやってきたのはカールに会うためではなく、ある事件の捜査のため、過去に類似した事件がないか地下の資料室で資料を調べるためにやってきたのだった。
バクが調査しているのはアパートで遺体が発見された事件だった。
カールも興味を惹かれ、バクの事件なのに現場に出かけてしまう。
「俺の事件なのに」とバクがカールを追いかけていると、アサドに出会ったので事情を説明すると、アサドもカールの後を追った。
コペンハーゲン署の殉職者の部屋にアサドが入ると、カールに追いつく。吹き抜けの天井からは雪が舞い降りてきていた。
「奴には手に負えないさ。数独に数字以外を書く男だから」とカールは事件を追うことに決めたらしい。
(注 sudokuに関するバクのジョークはカールのお気に入りでこれまでも何度か出てきている…)
アサドも異動までカールと一緒に事件を追うことにした。

湖畔のアパートにアサドとカールが行くと人だかりができていた。
現場の部屋に行くと、入り口でグナー(Anders Juul)という警察官がバク警部補を待っていた。アサドとは顔見知りらしい。
部屋の住人はギデ・チャールズで連絡は取れていないという。
遺体は食事を取る時のように食卓を囲んで置かれていた。
テーブルには保存処理されたペニスと睾丸、卵巣、女性器がホルマリン漬けで置かれている。
女性であろう遺体の首にはハートの鍵がついたブレスレットが巻かれており、「カギには相手の心を開くという意味がある。無意味なことを」とカールがつぶやく。
アサドが「なぜ無意味だと?」と聞くと、カールは以前同じようなものを持っていた、と告白する。

ミイラが発見された部屋で現場検証をするカールとアサド

食卓には、他にも煙草の吸い殻がたくさん入った灰皿、使われたらしいカップ、誰も座っていない倒れた椅子がある。
それを見て、カールは他にもう一人いたのではないか、と推理する。

1961年スプロー島女子収容所。
少女とギテ・チャールズが辿り着くと、他の少女が迎えにきていた。
診察室で医師から健康診断を受け、医師は「カルテ64」と書かれ、少女の情報が記されたカルテをチェックする。
「将来はどうしたい?」と医師が聞くと、少女は「テーイと来年結婚する」と話した。

医師は新しい入所者に見せているものがあると言い、本を開くと少女に手招きして、自分の膝に座り本を見るように強制した。
本にはポストモーテム・フォトグラフィーという遺体を生きているように撮影した記念写真が印刷されている。
医師は「彼らは尊厳を保っている」と話し、それが重要で、少女が尊厳を保てるように助けてあげたい、我々は福祉社会に貢献しなければならない、と諭した。

ギデが夕食だと呼びにくると少女は立ち上がって彼女の側にいくが、医師は「ニーデ」と呼びかける。
しばらくは家には戻れない、テーイのことは忘れるように注意した。

2018年。
建設作業員がアパートで遺体を発見したというニュースが放映されており、ある陽光降り注ぐ海岸にあるアパートで70代くらいの女性がそのニュースを見ている。

1961年。
ギデは強い噴射力を持つシャワーでニーデに水を当て、体を無理やり洗っている。

2018年検視局。
検死官が遺体の状況をカールとアサドに説明している。
遺体はニーデ・ヘアマンスンと特定され、死亡時の年齢は60歳。
体液を除去されたためミイラ化して残ったという。
内臓は除去され、エタノール入りの瓶に生殖器官が詰められていた。

ヒヨスチアムス・ニジェール、ヒヨスともいわれる、中東で麻酔薬として使われた薬を大量摂取したことにより、中枢神経が麻痺し死に至ったと推測される。
しかし生殖器官が取り除かれたのは生前らしい。

カールは、長年にわたって計画された、怨恨による殺人であると推理した。

被害者は簡単に特定できた

コペンハーゲン警察署。
マーカス・ヤコプスン(ソーレン・ピルマーク)は特捜部Qが設立されてから残酷な事件が立て続けに起こる、とぼやく。
正式にこの事件は特捜部Qの担当であるとヤコプスンが言い渡す。
容疑者はこのアパートの住人であるギデ・チャールズであるとカールは言う。
ギデは以前に攻撃的な言動で病院を首になっており、葬儀社にいたこともあるので遺体の保管方法も知っていた。
ヤコプスンが彼女の居場所は分かるのか聞くと、アサドは「いいえ(ニクセン)何年も消息不明ですが、なぜか家賃は支払われてます」と説明する。

カールは耳ざとく「ニクセン?」と聞くと、アサドはデンマークスラングだと言う。
アサドは既に指名手配が済んでいて、遺体も社会保障番号や免許証があるので判明したと説明すると、ヤコプスンは今回は楽に解決するのではと拍子抜け。
ニーデ・ヘアマンスンが2005年、フィリップ・ナアヴィーが2006年に行方不明になっており、残りの女性は解析中だが3体中2体は身元が判明している形だ。
バクが「3人目はギデだ。二人を殺した後自殺したんだ」と喋るが、ヤコプスンは怪訝な顔。
カールが頭を使って考えろ、と呆れる。

ヤコプスンはナアヴィーの名前を聞いたことがあったが、カールが失踪事件があったと知らせた。
その事件が通報された後、妻からは「夫は愛人と逃げた」と連絡があったため覚えていたのだった。

ヤコプスンはアサドを呼び止め、次の準備をしたらどうだ?と聞く。
アサドは最後まで特捜部Qで仕事をしたいと申し出るが、ヤコプスンはカールのことではなく自分の将来を考えろと諭す。
「普通は」詐欺捜査課にアサドのような者(ブラウンアイズの移民)は行けないのだから、と。

カールとアサドはナアヴィーの妻に会いに美術館へ向かう。
ナアヴィーの妻(ヴィーベケ・ハストルプ)に今朝発見された遺体がフィリップ・ナアヴィーだといきなり明かすカールを、アサドがたしなめる。
なぜ捜索願いを出した後にそれを取り消したのか、妻が言うには失踪の2週間後、夫から「愛人と一緒に駆け落ちした」と記すメールを受け取ったからだと。
メールは保管していないが、息子たちからはメールはスペインのマラガのネットカフェから送られたものだと聞かされた。
カールはギデ・チャールズの情報を渡し、何か夫との共通点はないか見てもらうと、ナアヴィー夫人は「スプロー島の女子収容所」だと驚く。
女子収容所が閉鎖された後に多くの訴訟が起き、フィリップ・ナアヴィーは被告側(収容所側)の弁護士をしていたのだ。

1961年。
ニーデはリタ(Clara Rosager)と同室になる。
リタはニーデに入所の理由は「頭が弱いのか、淫行か」と聞く。
ニーデは彼を愛してた、とリタに話すと、リタはハイソックスに隠していた煙草を取り出す。
時々漁師から差し入れがあるが、お返しをしなければならないけどね、とニーデをじっと見つめ、面倒を見てあげる、と提案する。

2018年。
ローセがリタ・ニルスンの証明写真を特捜部Qの壁に貼っている。
娼婦で、2006年に勤務先の近くで行方不明になったという。
スプロー島との関係はないので、ローセはナアヴィー夫人の勘違いではないかと疑う。
カールはスプロー島にいた人を調べるようにローセに指示する。
スプロー島には女子収容所があり、その施設は当時非行や「男性中心の社会で」不適切と見做された少女を収容していた。
ローセも父親から「(お前は)当時ならスプロー島に送られていた」と脅されたことがあるらしい。
カールが煙草を取り出し「相当ムカつく娘だったんだろう」と言ったので、ローセは憤慨して「禁煙ですよ」と言って立ち去る。
アサドがカールに「こういうやりとりももう終わりです」と言い含めると、カールは何も気づかなかったように「やりとり?」ととぼける。

ローセがマラガの警察から得た情報を伝える。
ギデはマラガに住み、銀行口座からあの部屋の家賃を払っていたらしい。
カールがそれを早く言えと電話をかけるが、ローセは既にギデ・チャールズの捜索依頼は出した、と告げる。

ギデが3人を殺し、マラガからナアヴィー夫人にメールを送ったとすると、殺害の動機はなんだろう?

女子収容所へ出かける特捜部Qの面々

マラガ。
管理人が警察に要請され、ギデ・チャールズとネームプレートがあるアパートのドアを開けるが、老婦人は既に立ち去った後だった。

マラガの警察からローセに連絡が入り、既にギデは留守で、口座が解約されていたという。
携帯に連絡を受けたカールが、気づかれてギデが逃げたのだろうと判断し、インターポールや空港、駅、バスターミナル、国境検問所、タクシーも含めて手配を広げろ、と街を歩きながら指示する。
あるカフェに差し掛かった時、カールは窓辺に座って本を読む女性に目を止める。

特捜部Qのオフィス。
カールは現場の写真を見つめている。

1961年、収容所。
ギデがヒヨスが入ったお茶を淹れ、リタに渡している。
リタもギデもそれを飲み恍惚状態になり、二人でキスをし始めた。
ニーデもお茶を飲むかとリタに勧められ、一旦は断るが強制されたので飲んでしまう。
リタにキスをされて拒否するが、殴られたため、または薬が効いてきたため怖くなりリタにされるがままになるニーデ。
リタはニーデの体を弄び、ギデはそれをただニヤニヤと見ていた。

2018年。
カールが警察署に出勤すると、アサドとローセが車に乗り込むところだった。
やはり被害者と容疑者の接点はスプロー島で、今から現地に行くというのでカールも車に乗り込む。

スプロー島へは現在は橋で渡れるようになっている。
現地に到着すると、スプロー島管理人の職員ブラント(ニコラス・ブロ)が待っていた。
ローセに約束の時間より7分遅れたことを責めるブラント。
カールはここにはヒヨスが生えているのか尋ねると、自生している場所へと案内される。

ヒヨスはナス科で、少量ならマリファナのようにハイになれる植物だが、女子収容所の近くに生えていた。
ブラントは文脈と関係のない話に逸れるタイプのようで、カールは話を遮って先を急がせ、次は収容所の中へ入ることにする。
収容されていたのは「自由な女の子たち」つまり、当時「人として欠陥がある」子と判断された人々だ。
デンマークで50年代になされた政治改革で、福祉政策の一環で設立されたものだった。

収容所跡を見て回る特捜部Qと管理人

少女たちが暮らした収容所の中を見て回る4人。
少女たちと職員の関係は囚人と看守と同じで、ひどいものだったという。
ブラント曰く「女好きの女性職員なら悪くない場所だ」。
カールはかつてのニーデの姿を見る。

ブラントは懲罰室へ3人を案内する。
3人を中に入れて、ブラント自身は目を逸らしながら説明する。
そこでは食事も与えず何日も閉じ込められるという罰が行われていた。
ある日一人の少女が脱走し、捕らえられた後2週間ここで監禁されたという。
耐えられなくなって部屋を離れるブラント。

ローセが「デンマーク政府は彼女たちに謝罪していない(のはなぜか)」と聞くと、ブラントは「損害賠償が恐れてるんだ。実際裁判がなかった」という。
カールが信じられない(フィリップ・ナアヴィーが被告の弁護士だったはずなので)、と呟くと、「裁判になる前に却下されるんだ」とブラントが説明した。
そのため警察に記録が残らなかったのだが、公文書館には記録があるだろう、と出かけることにする。

公文書館に行く途中で給油する3人。
カールは公文書館に電話し、もう閉館していると聞かされたのか、「そんなのはどうでもいい(から開けろ)」と交渉中。
給油するアサドの横で、ローセは携帯を見ており、アサドに声をかけられると驚いて携帯を落としてしまう。
ローセは今度デートがあるらしいのでアサドは笑って応援する。
ローセも微笑むが、アサドが異動することを許せない、と改めて話をする。
アサドが以前異動したいと言うローセを引き止めて、カールにはアサドしかいない、ローセのことも必要としてる、と言ったじゃないか、と言うのだ。
アサドはカールの側で支えていれば変わると思ったのに、相変わらず変化せず自分一人で全て解決できると思ってるから、自分は前に進むことに決心したらしい。
寂しくなる、と抱き合うローセとアサド。
カールが戻ってきて、事件の資料を見に行く、と告げる。

公文書館
スプロー島の資料を職員が持ってきて、それをチェックするアサドとカール。
スプロー島の医師への訴訟が見つかり、医師の名前はクアト・ヴァズで、フィリップ・ナアヴィーがその弁護士を務めていた、結局証拠不十分で裁判には至っていない、と資料には記してある。
訴訟内容はヴァズによる強制不妊手術で、原告の名前は非公開とされている。

ヴァズに後日会うことにする二人だが、そこでカールは公文書館の中であるにも関わらず煙草を吸おうとする。
アサドが注意するとイライラしてカールは外に向かう。

不妊治療の権威クアト・ヴァズの隠された過去

病院の講堂。
クアト・ヴァズが大勢の聴衆を前に講演を行なっている。
彼は今まで不妊に悩む多くの女性を助けてきた経験から、不妊治療の年齢制限撤廃を訴える立場だ。
その講演をブラントがスマートフォンで撮影している。
講演が終了し主催者が挨拶中に、ブラントはすぐに席を立ち講堂を出て、電話をかける。

ローセのデートの相手は、3つのミイラ遺体が見つかったアパートを警備していた、警察官のグナーだ。
ローセの電話にブラントから電話がかかってくる。
「どうしても話したいことがあるから、後日ハーバーパブで落ち合いたい。
時間は12時14分から16分。今度は遅れるな」
どんな情報を話したいのか、ローセは事前に知りたがるが、ブラントは全ての通話は盗聴されているから、直接話したい、と頑なに言わない。
仕事の電話だった、と戻ってきたローセに、「デートを抜ける口実?」とジョークを言うグナー。
ローセは笑って、「スプロー島の管理人からだ」と笑う。グナーはそのひとはなんと言っていたのか話を続ける。

ヌールを気遣うアサド

帰途につくアサド。
途中なじみの商店に入ると、中絶手術を受けに病院に行ったヌールが店番をしている。
アサドのためにリンゴを倉庫へ取りに行こうとするヌールだが、アサドが彼女の歩き方が辛そうだと気づく。
倉庫で座り込むヌールにアサドが様子を聞くと、お腹が痛いというが、アサドが父親を呼ぼうとしても彼女は拒んだ。
「(知られると)パパに殺される」と言うヌールがお腹を押さえているので、アサドは妊娠したのか?と聞くと、もうすでに堕ろしたと告白する。
父親が戻らないヌールを心配し、様子を見にきたので、アサドは食あたりだろう、と言い訳する。
ヌールは家に帰って休むことにした。

翌日、コペンハーゲン署。
ギデはかなり歳をとっているはずなのに、いまだに見つからないことに苛立つヤコプスン課長。
他にカール、アサド、バク、グナーが集まっている。
クアト・ヴァズが4人(ギデ、ニーデ、リタ、フィリップ)と接点があるとカールは説明する。
ヤコプスン課長はクアト・ヴァズの名前、スプロー島にいたことに驚く。
デーネヴァーン研究所デンマークで有名な不妊治療院で、昔ヤコプスン夫妻も世話になり、出産に成功したことがあるらしい。
ヤコプスンはクアト・ヴァズを敬意をもって丁重に扱え、とカールとアサドに頼んだ。特にカールには念入りに。

デーネヴァーン研究所(ヌールが中絶手術を受けた場所でもある)。
カールとアサドが訪ねると、クアト・ヴァズはフィリップ・ナアヴィーのことで来たのだろう、まさか死んでたとは、と話す。
ギデの部屋で遺体が見つかったことを話すと、顔色が変わる。
カールが彼らの関係を尋ねると、クアトは「ギデと少女たちは仲が良かった」と説明した。
ギデの犯行なのか?と恐れるクアトに、アサドは彼女の居場所に心当たりがあるか、カールは動機はなんだと思うかと尋ねた。
30年間ギデには会っておらず、動機など知る由がないと断言するクアト。

カールがクアトのデスクを見渡すと、ニーデが見たのと同じポストモーテム・フォトグラフィーが飾られている。
不妊治療院なのにこんな写真を飾っているのか、とカールが訝しがると、クアトは
「医者が悪趣味なのは知っているだろう。私は死人が食卓を囲む姿をいつも夢見ている」
と静かに語る。
カールは「それが動機か?」と聞く。
そこにビエーデ(クアトの妻)がクアトを迎えにくる。

カールは強制不妊手術で訴えられたな、とクアトに聞くと、それは彼女の言い分であり、自分は法的に認められた手術をしたまでだ、と言う。
ただし、それは褒められるような行為ではない、当時はそういう時代だったのだ、と。
アサドは「彼女」とクアトが言ったことに注目し、何をしたのかと問いただしたが、クアトは「何年も前のことだから覚えてない」と言い張る。
カールは「二人の少女と職員が親しかったのは覚えているのに、訴えてきた原告に何をしたのか覚えてないのか?」と追求。
強引に話は終了された。

アサドはあの態度でクアトは後悔しているなんて信じられない、と憤る。
カールは「後悔などいらない。俺の相手も中絶した」と言うので、アサドが驚いて「ヴィガ(カールの元妻)の子供?」と聞く。
ヴィガには連れ子がいたため、カールたちは中絶を決めたのだった。
アサドは子供には生きる権利がある、と説く。
カールは「俺の子では可哀想だからな」と言うのをアサドがそうではなく…と話を続けようとするが、カールはクラクションを鳴らして止めさせた。

1961年、女子収容所。
冬になり、セーターを編む作業を行う少女たち。
リタとニーデはペアになって作業しているが、リタはニーデの首からハートの鍵のネックレスが下がっているのに気づき、「隠した方がいい」とアドバイスする。
ネックレスを隠すニーデ。
ニーデが妊娠していることに気づいたリタは、早くここから逃げ出した方がいい、彼らに見つかったら中絶させられると提案する。
漁師に体を売って、逃走ルートを確保してもらえばいい、と言うリタだが、ニーデは妊娠している子のために絶対にそれはやらないと言い張る。
違う方法がある、とリタが言うので、心動かされるニーデ。

ある夜、収容所を抜け出し、リタと一緒に漁師がいる小屋に出かけるニーデ。
ハンスという漁師に、コアセーに行きたければコートを脱げ、と言われるニーデ。
下着も脱げ、と言われ、話が違う、というようにリタに目で訴えるニーデ。
リタは無視し、ニーデはハンスの前に横たわらせられる。
リタは部屋から出て行き、結局ペニスをヴァギナに入れられレイプされる。
そこに、リタがクアトと看護師たちを連れてきて、ニーデは懲罰房に入れられてしまう。
リタはクアトに褒められ、「(仲間を売って)成長したようだ。家に帰してやろう。」と約束される。

アサド、怒る

2018年。
ブラントと約束したハーバーパブに到着するカールとアサド。
ローセと約束したはずなのにいないので、驚くブラント。
以前も会ったはずなのに、バッジを見せろ、と二人に要求する。
ブラントが島の管理人をしているのは理由があるという。
叔母があの島で不妊手術を受けさせられ、それを苦にして自殺したのだ。
国に何度も苦情を申し立てたこともある。
クアトはかつての社会民主党の理想を追求しているから、騙されるな(首を切る仕草をする)、60年前と同じこと「本人に知らせない不妊手術」をしてるんだ、と語るブラント。

健康な北欧の女性は子供を産め、劣等な女性は社会を汚すから産むな、という思想がかつてあった。
そして今は移民の娘が目をつけられているらしい。
これはクアトが率いる組織の陰謀で、他にも仲間がいて、医師や弁護士、警官、政治家もだ、だから問題になる前にもみ消されているのだ、というのがブラントの言い分だ。

立証するには証拠が必要だ、というカールに、ブラントは研究所の前で隠し撮りした映像を見せる。
ヒジャブを被った若い女性が研究所に一人で入っていく姿だ。
デンマークでは中絶には親の同意が不要なのでそれは何もおかしくない。
しかし、ブラントがいうにはクアトの病院では必要な申請を出さずに、匿名で受けられるようになっている。
草の根運動的に活動し、若い女性を助けるふりをして不妊手術を強行するというわけだ。(親は何も知らないので、訴えられることもない)

不妊手術をする医者は同じ弁護士フィリップ・ナアヴィーを雇っているため、彼の資料には記録が残されているはず。
令状をとって資料を調べてほしい、とブラントは頼む。
カールは「証拠がないので令状の取りようがない」と諭しているとき、アサドはブラントの携帯で撮影された映像に、ヌールが写っているのを見つける。
アサドは突然立ち上がる。

学校に行き、ヌールを説得し、病院に連れて行くアサド。
医師がエコーでヌールの生殖器に問題がないか調べる。
出てきた医師がアサドに「思った通りだ、私が伝えるか?」と話すが、アサドがヌールに伝えることにする。
ヌールに両親に伝える、というと、ヌールは拒否する。
アサドは誰が中絶手術をしたのか聞くと、ヌールは両親を呼ばないことを約束するなら言うというので、アサドは了承する。
クアト・ヴァズが手術をした、とヌールは証言した。
なぜそんなことを聞きたいのか、と尋ねるヌールに、アサドはクアトがヌールを子供が持てない体にした、と伝える。
ヌールは動揺し、アサドが警察で証言してくれ、と頼んでも誰にも言えないから嫌だ、と逃げ出す。
アサドはカールに奴らを必ず逮捕する、と宣言する。

ヤコプスン課長が連絡を受け、70年代以降に苦情が出ている、中絶手術を失敗した医師をリストアップするようにとローセに指示を出す。
当時は紙の資料だから時間がかかるかもしれないため、ヤコプスンはローセに、ブラントが所持しているリストも入手するように言い、ローセはすぐにブラントの元へ走った。
そばにいたグナーやバクは詳細が分からず、グナーは「何なんです?」と聞くが、ヤコプスンは行ってしまう。

クアトの邸宅に大勢が集まっている。
「何者かにリークされたため対処しよう、賛成なら沈黙で答えよ」と話す。
聴衆は無言で頷き、クアトが目配せした後バイクのヘルメットを持った男が屋敷を出て行く。

自宅にいるブラントがローセに電話をする。
医者のリストを受け取ったか聞き、ローセは確かに受け取った、と答える。
ブラントは奴らが気づいたと焦っている。帰り道に同じ男に三度もあったと言う。ブラントの自宅は監視カメラが何台も設置されており、ブラントは映像を見ながら怯えている。
ローセがすぐにブラントの家に向かうと約束した。

アサドが運転する車の中。
カールはローセから医師のリストを受け取り、その全員がフィリップ・ナアヴィーを雇っていたと把握する。
「また夫人に会う」と言いながらカールが煙草を吸うので、アサドは怒って煙草を口から奪って外に投げ捨てた。
珍しく冷静ではないアサドを嗜めるカール。
アサドがヌールの証言で逮捕できないのかというと、カールは殺人に直接つなげることはできない、と話す。
クアトの犯罪を知るニーデ、リタ、フィリップをギデが殺したなら、クアトが黒幕だ!と言い切るアサドだが、カールはそれなら3人のIDを残すはずがない、と考えていた。
誰かに知らせたくてやったのでは…とカールは思い至る。
アサドは次の部署に移るまで後2日だ、楽しみですよ(その前に捕まえたい)と苦々しげに言った。

組織の襲撃が始まる

ブラントの自宅。
フードを被った人影が監視カメラの映像に映る。
誰かが中に入ってきて、焦るブラント。

ナアヴィー夫人の自宅を訪れるカールとアサド。
建物に入るのを、バイクに乗った誰かが見ていた。
玄関でナアヴィー夫人に、フィリップは女性に不妊手術を施した医師たちを弁護していたこと、ある集団に属し、アサドのような人たちを嫌っていたことをカールが聞くと、夫人は全て知っていたと頷く。
フィリップの考えは知っていたが、夫人はそれとは相入れず、家ではその話をさせなかったという。
カールがフィリップが死んだ事件を解決するために、何か覚えていないかと聞くと、仕事のことは話さなかったのでわからないと説明する。
資料が地下に残っているから見てみるか?と夫人が言うので、望んだ資料があるのか、とカールとアサドは色めき立つ。

ローセがブラントの元を訪ねる。
扉が開いているので入ると、ブラントはベッドで首を切り裂かれ、血まみれになって亡くなっていた。
後ろから目出しぼうを被った人物がローセに襲い掛かる。
ブラントのいるベッドに叩きつけられて、顔が血まみれになるローセ。
ローセは首を締め上げられるが、何とか抵抗し相手を撃退する。

地下室の資料を運び出し、アサドとカールは車に乗り込む。
車が出発すると、橋の上で待機していたバイクも出発する。
資料には不妊手術の記録、出産の失敗が全て書かれていて、堂々と犯行が行われていたことを知るカールとアサド。
カールは資料の中に「カルテ64」と書かれた、スプロー島のニーデの記録を見つけた。
カールはフリップフォンを取り出し、メールを打とうとした。

車の後ろから爆発物を持った人物を乗せた、二人乗りのバイクが近づいてくる。
爆弾がアサドとカールの乗った車のボンネットに投げられ、車は炎上する。
走行しつつ障害物にぶつかった車は、横転してしまう。
ベルトを外し、逃げ出そうとするが、バイクに乗っていた一人が近づいてくる。
カールは銃を取り出し、近づいてきた一人に弾が命中したため、やむなく暴漢たちはバイクに乗って逃走したのだった。
車はエンジンに引火し、爆発。
資料はカールが手に持っていた、カルテ64だけになってしまう。

夜行バス。
マラガから移動してきた老婦人が乗っている。
アナウンスが「次はプットガルテンです」と告げている。
(注 プットガルテンはドイツの都市で、デンマークを結ぶ港がある)

ベッドに拘束されているニーデ

1961年、女子収容所。
懲罰房に入れられ、手足を拘束されたニーデが暴れている。
妊娠しているのかとクアトが問うと、ニーデは否定する。
処罰を受けよと迫るクアトはニーデに迫り、自分のベルトを外し、ニーデをレイプしようとするが、ニーデはクアトの耳を噛みちぎる。
ニーデは処置室へ連れて行かれる。

処置室にはカール・クレスチャン・スタインケという社会制度改革法制定に関わった1933年当時の社会大臣の写真が飾られていた。
クアトは、我々は彼に借りがあるという。
「質の劣る者は必要ない」
という考え方である。
福祉社会を実現するためには必要な思想であるから、クアト自身も社会にそれを広めなければならないという考えがあるらしい。
Karl Kristian Steincke - Wikipedia
(注 スタインケは誰しもが安心して生活できる福祉社会を目指して改革を進めたが、その一方で優生学を支持していたと指摘されている)


嫌がるニーデにギデが麻酔を嗅がせ、ニーデはぐったりする。
中絶と不妊手術が進められ、リタもその様子を外で伺っていた。

2018年、夜行バスに乗った老婦人が映し出される。

カールとアサドを襲った身元不明のバイクの追跡を指示する警察無線の音声。
ブラントの自宅にパトカーで到着したカールとアサド。
ローセとアサドが抱き合い、無事を確認する。グナーとヤコプスン課長、バクも現場に到着している。
カールが状況を聞くと、ローセが犯人はブラントのパソコンを狙っていたという。
ヤコプスンはクアトにはアリバイがあると伝えた。
アサドとカールが、相手は組織であり、医師たちが郵政保護のために中絶と不妊手術を行なっているのだとヤコプスンに訴える。
ヤコプスンがまともに取り合うんじゃない、とカールを宥めるが、警察が身内を庇い合うから多くの裁判で勝訴するように、医師たちもお互いを庇い合っているから事件が隠蔽されているんだとカールは言った。
クアトたちは氷山の一角であり、大勢が証拠を抹殺しようとしているのだと。

ヤコプスンと対立するカールとアサド

しかしヤコプスンは、それだとギデの家から遺体が見つかった件も同じ組織の奴らなのか?と問う。
ギデが本当に今生きているのかも分からない。
ヤコプスンは特に昇進がかかっているアサドに強く忠告する。
糾弾するなら疑う余地のない証拠が見つかった時だけで、それがなければクアトも彼の妻も訴えられない(警察はその権限がない)のだと。
二人に了解を求め、カールもアサドも渋々了承した。

カールの電話に、捜索対象がドイツでバスに入り、8時25分に到着予定だという連絡が伝えられる。
アサドが電話の内容を知りたがっているのに、カールは後で落ち合おうと言って一人で出かけようとする。
アサドは何かギデのことで隠しているのか?と問い詰めるが、カールは去ろうとする。
「私を信用してないんですか?もうたくさんだ、あなたとはチームじゃない」と言うアサド。
カールはどうせ後24時間で異動なんだから(お前には関係ない)とアサドの後ろ姿に向かって言った。
ローセはあなたのことを思ってあんな態度をとっているんだ、とアサドを宥めようとするがアサドは聞かない。
アサドは去り、落ち込むローセに付き添うグナー。

カールが真相に辿り着く

思い出の鍵を握りしめるニーデ
1961年、女子収容所。
お腹を抱え、痛みに苦しむニーデ。
靴下の中に隠していたハートの鍵のネックレスを取り出し、握りしめる。

収容所が閉鎖されることになり、土曜日までに荷物を片付けるようにと、講堂で少女たちに通知がある。
呆然とするギデ、喜んで施設内を走り出す少女たち、怒りに震えるニーデ。

2018年、夜行バス到着場所。
カルテ64を持ってカールが待っていると、赤いコートを羽織った老婦人が降りてくるのが見える。
カールは「ニーデさん」と声をかけた。

彼女は逃走のために、指名手配されているギデ・チャールズではなく、自分のパスポートを使っていた。
カールは、3人に恨みを持つのはニーデだけだ、と指摘する。
カルテにはニーデが後年、クアトを訴えたことが記されていたため、カールは3つのミイラとなった人物を殺したのはニーデだと気付いたのだった。

カールが事情を聞かせてほしいと近づくと、ニーデは防犯スプレーをカールの顔に吹きかけ、「引ったくりよ、捕まえて!」と叫ぶ。
人々に取り押さえられているカールをよそに、ニーデは逃走を図る。
必死にカールも追い縋るが、ニーデはタクシーに乗って走り去ってしまった。
カールもタクシーで追いかける。

デーネヴァーン研究所。
制止を振り切り、ヌールが研究所内を進んでいく。
診察中のクアトの妻ビエーデを見つけ、ヌールは「私は子供が産めないと言われた」と訴える。
患者に次の約束をして帰した後、ビエーデはヌールを招き入れ、ドアを閉めた。

ヌールの友人に、父親が娘の居場所を問いただしている。
そこへ到着するアサド。
父親が去った後、アサドも彼女を呼び止め、ヌールの居場所を知っているだろう、君も一緒に病院に行ったんだからと問い詰める。
父親がいないのを確かめ、友人はヌールは病院に言った、と白状する。

カールはニーデを追い、フェリーに乗る。
甲板で風に当たっているニーデに声をかけ、ハートの鍵のネックレスを彼女に返すカール。
フェリーのカフェに座り、ニーデは水筒からお茶を汲み飲んでいる。
向かい側に座り、カールも添えつけのカップをとり、そのお茶を自分に汲み、飲む。
「ヒヨスを飲んだからといってミイラにして閉じ込めないでくれよ」と頼むカール。

ニーデに、「あなたはフィリップとリタとギデを殺した」と言うと、ニーデは頷く。
最後の椅子はクアトのものだ、と推理を話すと、ニーデは何も言わず、お茶の入った器を献杯し、傾ける。

クアト・ヴァズ
デーネヴァーン研究所。
アサドが入ってきて、クアトを見つける。
ヌールはどこだ?何をしたか知っているぞ、と問うアサドに、「情緒不安定な移民の娘なら、医師と話した後帰宅した」と話すクアト。
アサドはとぼけるクアトを突き飛ばすが、監視カメラがあるとクアトが視線で訴えると、観念して一旦退散する。

ローセに電話をかけて、ヌールは帰宅したらしいと伝えると、ローセは「でもヌールの携帯はその敷地内にある」と言う。
(注 ローセの腕には「キジ殺し」の時に引き受けた保護猫が抱かれている)
研究所内に戻るアサド。

フェリー。
カールはニーデに事件の経緯を話すよう求める。
ニーデは施設を出た後テーイと暮らしたが、もう以前と同じ自分ではなく子供もクアトのせいで望めなくなったため、結局テーイとは別れた、と話す。
それで人生を台無しにした奴らに復讐することにしたのだという。
カールはヒヨスが効いてきた。
訴えが却下された後は殺害を考え始め、何年も何年もニーデは空想しながら待った。
まずはギデに近づき、6年かけて信頼を築き、ニーデが彼女を許したのだと信じさせることに。
ニーデとギデはテーブルについて座り、ギデはヒヨスでハイになりたがったと話すニーデ。
カールもだんだんハイになってきて、笑い出す。

研究所内を探すアサド。

なぜ彼らをテーブルに座らせたのだ?とニーデに聞くカール。
ニーデはクアトが持っていた、遺体が生きているように座っている写真を覚えていて、あれと同じようにさせて、価値のない人生を永遠に送らせたかったと明かす。
最後の椅子に座らせるべきクアトをあの部屋に呼び込むのは困難だったので、ギデになりすますことを考えたのだ。
しかしその時、テーイから連絡があり、また一緒に暮らすことにしたのだ。
愛する人の側に再びいられるようになった時、怒りや復讐心が無駄だったと気づき、ニーデはそれを手放すことにした。
カールは運や政府に見放されても愛が勝つのか、と呆然としながら言う。
12年間は人生で一番幸せだったと語るニーデの顔は、カールには1961年の少女に見えていた。

カールはニーデに、クアトを必ず捕まえると伝える。
ここには誰にも言わずにきた、君を捕まえる気はない、というのだ。
ニーデはテーイの意志で海峡に散骨するためにフェリーに乗ったと言い、骨壷をもち甲板へ向かう。
ニーデを見送るカール。
そのままニーデは骨壷と一緒に海へ飛び込んだと悟る。

ローセから電話があり、今どこにいるのか質問される。
アサドが研究所に行ったまま戻ってこないとローセが伝えたため、カールはフェリーを急いで研究所に戻らせる。

アサド絶体絶命

研究所を捜索するアサド。
グナーがアサドのことで通報があったと言いながら現れた。研究所内には誰もいないとアサドに伝える。
制止を振り払って最後の扉を開けると、ヌールが薬で眠らされて長椅子に横たわっているのが見え、駆けつけるアサド。
部屋の隅にはクアトがいて、薬を取り出そうとしていたため、アサドは銃をクアトに向け、膝まずかせようとする。
グナーに救急車と応援を要請するように伝えるアサド。
クアトは悠々と椅子に座り、ニーデにかつて齧られた耳を触る。

「寒い冬の説を?」とクアトが聞く。
寒冷地に人間が移り住むと、強く、地位の高いものだけが生き残ったという説らしい。
民主主義もその強い彼らが生み出したものなのだ、とクアトは語るが、アサドは「民主主義はギリシャとイタリアで生まれたんだ」と反論する。
クアトはそれを無視し、「君たちのような自然に選ばれたものではない弱いものが、近年デンマークに押し寄せてる」と主張する。

グナーが戻ってきて、応援がすぐにくる、とアサドに伝える。
クアトはグナーに向かって頷くと、グナーはアサドを銃で撃った。
倒れ込むアサド。

クアトはヌールの中絶は違法だが罰金程度で済むものであり、アサドは単に異教徒が中絶したのが許せなかったからクアトを脅した、というように自分達は主張すればいいのだ、と語る。
グナーはアサドの手に持ったままの銃を握り、何発か発砲する。
ヌールを自殺に見せかけて処分するように、女性の職員とグナーにクアトが指示した。

カールが研究所に到着し、外で歓談している看護師のIDを奪って中に入る。
職員とグナーがヌールを運び出し、職員は車を手配するため離れる。
グナーも3分後に落ち合うのを約束して離れるが、ヌールの薬が切れ目を覚ます。

カールとグナーが鉢合わせ、カールはグナーに銃を向ける。
味方だと落ち着かせ、アサドが手に負えないと報告し、アサドのところへカールを案内する。
その時、カールはグナーの腕から血が出ているのを見て、グナーが自分達を襲ったバイクの男だと気づく。
グナーは腰にかけていた銃を取り出そうとするが、カールはその前にグナーを銃で撃つ。
右胸に銃弾は当たるが、グナーとカールは揉み合いになり、グナーは吹き抜けから一階へ落下し死亡する。

クアトの部屋。
心停止を起こす薬をアサドに注射するクアト。
クアトの後頭部を、ヌールが殴り、二人ともその勢いで倒れる。
銃でヌールを撃とうとしたクアトの腕を、間一髪でカールが撃つ。
アサドを介抱し、救急車を呼ぶカール。
意識が遠のくアサドの顔をカールは掴み、「死ぬな、俺がいる」と呼びかける。

アサドの手術が行われ、カールがその様子を外から見守っている。
アサドの血にまみれたシャツを着たまま、手をトイレで洗うカールはアサドを失う予感で泣き、手が震えてしまう。

手術が終わり、アサドが病室で寝かされている。
ローセが見守り、カールはシャツを脱いで下着のまま椅子でうたた寝している。
まだアサドが目を覚さないので気落ちするローセとカール。

廊下のテレビのチャンネルをカールがニュース放送に変えたので、一緒に見ていた女性が立ち去る。
ヤコプスン課長の会見で、ある医師の集団が社会的弱者の女性に不妊手術を行なっていたと明かされていた。
デーネヴァーン研究所の銃撃事件の件で、クアト・ヴァズとビエーデが逮捕されたこと、“寒い冬“のメンバーには政治家も含まれていたことが報道されている。
クアト・ヴァズは容疑を否定しているが、ヌール・トゥランが事件について証言したことも。
次々と被害の連絡が入っているというニュース映像を、ニーデがどこかの国で見ていた。

アサドの意識が戻る。
看護師がカールの足につまずき、カールもアサドが目を覚ましたことに気づく。
アサドにうまく声をかけられないカールは、一度「また明日来る」と部屋を後にしようとするが、戻ってくる。
そしてアサドのベッドの側に立ち、「残ってほしい、特捜部Qに」と頼む。
カール「ローセにはお前が必要だ」
アサド「ローセに?」
カール「それと俺にも」

まず今の体調がどうにかなってからね、というアサドの手を握るカール。
ローセが戻ってきてアサドを抱きしめる。

特捜部Qにはアサドとローセ、キャットといういつもの光景が戻ってきていた。

カールはカフェの窓辺で本を読む女性に声をかける決心がつく。

  • スタインケの「質の劣るものは出産を禁ずる」という言葉、
  • J H・ルーンバック医師の「質の劣る者とは精神障害者 反社会的人間 性的倒錯者 依存症者などである」
  • 1934年から1967年までに1万1000人以上の女性が強制不妊手術を受けた

というテロップが流れる。

終わり。

まとめ

いかがでしたか?
やはりこの回も格闘で終わりました〜。
しかし、アサドとカールの、愛、でしたね。

まとめると…

  • 遺体が発見されたのがきっかけで、特捜部Qが優生思想のある組織を摘発することになる
  • 収容所の看護師であるギデが当初容疑者と思われていたがカールは犯人がニーデであると気づく
  • 収容所では少女達を不当に収容し、優生思想のある医師が勝手に不妊手術をしていた
  • 現在では移民をターゲットにし不妊手術が行われていた
  • “寒い冬”には医師だけでなく政治家や警察も属していた
  • ニーデが最も恨みのあるクアトを殺さなかったのはテーイに出会って復讐心を乗り越えたため
  • アサドを失うかもしれない時になってカールはやっと人に心を開けるようになる

ニーデは結局まだどこかで元気で暮らしている場面では、「飛び込んだんじゃなかったのかw」と思いましたが、まぁそれはそれでいいですよねw
そして単に異動するだけなのにカールとアサドたちは大騒ぎして…と笑ってしまいましたが、まぁ仲が良くて良かったw
あと、”寒い冬”に気を取られましたが、カールはミイラ事件のことはどう報告したのかは描かれてなかった気がします。

“寒い冬”の思想が怖いのは、フィクションではなくデンマークでは多くの人たちが勝手に強制不妊手術をさせられていたという事実があるからですよね。
日本でもこれは他人事ではなく、優生保護法という形で日本でも強制不妊手術が行われてきたのです。
社会に蔓延る弱者を軽視し排除するような意識を、エンターテインメントの形で提示し、人々に少しでも意識を向けさせるのは社会的意義があることだと思いました。

アマゾンプライムは吹き替えもあるようなので、字幕派の人も見比べてみてはいかがでしょうか〜。
www.amazon.co.jp


ではでは!

参考:
Journal 64 (2018) - IMDb